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経営(ヒト・モノ・カネ)に関して定量的な分析を発信する 株式会社トランスのブログ

機械学習(AI)を使って「良い人材」を見分けられるか?

本記事は、前回記事
性格診断だけで入社後の評価をどれだけ予測できるのか?
の分析詳細です。

今回のテーマは
機械学習(AI)を使って「高評価の人材」を見分けられるか?」
という課題について深掘ります。

※関連記事は「性格診断に対するデータ分析(まとめ) 」よりご覧ください。

 

 「機械学習(AI)」は万能か? 

 

役員に「AI」をうまく使って優秀な人材を確保できないの?と聞かれました。

「どう使うか」次第かとは思います。。

なんとか役員が納得する結果を出せないでしょうか?

 

 

「AIを使って…」というフレーズが色々なところで使われています。特に「目的が定まったビックデータがある領域」においては「AI」は大変な力を発揮します。

一方、一般企業の人事領域で、「AI」を活用できる場面はあるのでしょうか?
今回は、「人材採用において、性格診断に機械学習を用いた結果詳細」を紹介します。

 

「性格診断結果」から「入社後評価」を予測する

「ディープ・ラーニング」を使って予測する 

実は(?)機械学習アルゴリズムには様々な種類があります。今回まずは「AI」と言われる元となっている「Deep Learing(ディープ・ラーニング)」のアルゴリズムを用いてみます。

 

機械学習では基本的に

  1. サンプルデータから予測の計算式を作る
  2. 予測の計算式を使って、テストデータを予測する
  3. テストデータの「予測した結果」と「実際の結果」を比較する

という流れで分析が進みます。「予測した結果」と「実際の結果」が近ければ、作った「計算式」によって、未来が予測できることになります。

 

それでは早速、実際の一般企業のHRデータに対して、「ディープ・ラーニング 」を使って予測してみます。予測はプログラムが行うので、いきなり結果です。 

 

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上記の表の見方としては、横軸に「予測した結果」、縦軸に「実際の結果」が表示されています。例えば、「実際の結果」は「高評価」なのに、「予測」では「低評価」になってしまった場合が、4%(右上のセル)というように読み解きます。

 

「予測」と「実際の結果」が一致したのは、「高評価」で14%、「普通(評価)」で14%、「低評価」で5%の合計33%(=正解率)でした。すなわち、「性格判断」に「ディープ・ラーニング」を用いることで、33%は正解することがわかります。

 

ただ、なんとなく表をみるだけでもわかるのですが、正解率は決して高くありません。実はランダムに予測した場合でも、今回のケースだと平均35%の正解率になるため、33%の正解率はランダム(=適当)に予測した場合よりも、予測できていないことになります。

 

そのため、今回の結果では
「ディープ・ラーニング」では、「性格診断」から「入社後の評価」をほぼ予測できない
ということになりました。
※もちろんアルゴリズムの調整を行うことで、意味のある結果が得られる可能性は大いにあります。

 

「それでは役員に説明がつかないじゃないか!」
というお叱りの声が聞こえてきそうですが、
「ディープ・ラーニング」はデータ数が少ないと使用してもあまり意味がない
ため、今回の結果はある意味、順当な結果なのかもしれません。

 

その他の「機械学習」を使って予測する

機械学習」は「ディープ・ラーニング」以外にもアルゴリズムがあるので、念のため、他の機械学習アルゴリズムを使って、「性格診断」から「入社後のパフォーマンス」を予測してみます。

 

以下のグラフは、「各アルゴリズム」ごとに、予測した評価の「正解率」を示しています。

 

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上記のグラフは、個人的にはあまり想定していなかった結果なのですが、一般的にもっとも精度が高いとされている「Deep Learing(ディープ・ラーニング)」が、今回は「最も正解率が低く」、逆に機械学習の中では比較的シンプルなアルゴリズムである「Decision Tree(決定木)」が「最も正解率が高い」という結果になりました。

 

決定木」を用いて予測すると、正解率59%とかなり高い精度になりました。これは、

「性格診断」だけで「入社後の評価」の「6割」を予測できる(可能性がある)

 ことを示しています。

 

先ほどと同様に「Decision Tree(決定木)」でも予測の内訳を見てみます。

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全体的に予測があっている割合が高まっていますが、特に「高評価」⇆「低評価」の予測ミスが減っていることは特徴的で、実利用する際にも使いやすいポイントです。

「決定木(Decision Tree)」は、機械学習の中でも、数少ない「計算式が単純=分類された理由がわかりやすい」アルゴリズムであるため、予測した理由を人間が説明しやすいという特徴があります。

今回も性格診断(SPI)結果において「「敏捷性」が54未満・「社会的内向性」が47以上・「懐疑的思考性」が53未満・「身体的活動性」が52以上」という4つの特徴を満たす人は、この会社では約9割の確率で高評価を受けていることがわかりました。

※むしろ、「ディープ・ラーニング」より「決定木(Decision Tree)」の方がわかりやすいため、役員に受け入れてもらいやすいかもしれません。

 

まとめ

 

機械学習」を使って、「性格診断の結果」から「入社後評価」を予測したところ 
・「ディープ・ラーニング(AI)」は効果的な結果は出せなかった
・よりシンプルなアルゴリズムを用いると予測の精度が高まった
という結果になりました。 

 

最近注目を浴びている「ディープ・ラーニング」ですが、これまでは様々な領域で、シンプルな機械学習“すら”使われていないことがほとんどでした。(「機械学習」もうまく使えば非常に強力なツールです。)

そのため、比較的データ数が少ない領域では、「ディープ・ラーニング」よりも「シンプルな機械学習」を適切に用いることで、効果的な成果を生むことができるかもしれません。

 

ちなみに今回の「性格診断」を用いて「入社後の評価」の「6割」を予測できるという結果は普通に面接すると14%しか入社後評価を予測できない?の記事で紹介した過去研究の「一般認識能力テスト」や「構造化面談」よりも高い予測精度を示しています。

 

今回の結果で、既存のデータをうまく活用することで、より良い人材採用に繋げられる可能性があると感じています。HRデータ分析のご研究をされている方がいらっしゃいましたら、是非お話をさせていただけますと幸いです。

 

性格診断だけで入社後の評価をどれだけ予測できるのか?

今回は、実際のHRデータ分析のコンサルティングを行った結果をもとに
「採用時に入社後の評価をどれだけ予測できるか?」
という課題について考えてみます。

※関連記事は「性格診断に対するデータ分析(まとめ) 」よりご覧ください。

 

 

「採用」と「入社後の評価」を紐付けて分析できていない!?

 

性格診断の結果は、採用に活用されていますか?

はい。波形をみて、自社のカルチャーに合うかをみています。

ちなみに、採用されたカルチャーに合う人は、その後活躍されていますか?

採用で一杯一杯で、なかなか入社後までは分析が…

 

採用時点の分析はできているが、 採用後の分析まではなかなかできていない企業も多いのではないでしょうか?(そもそも性格診断はしているものの、採用の意思決定には活用できていない!という声も聞きます。)

一方、「“入社後に活躍する”人を採用する」ことも採用の最重要テーマの1つ。

 

今回は、採用時に重要な「スキルマッチ」×「カルチャーフィット」のうち、「カルチャーフィット」の側面にフォーカスし、「性格診断」の結果から「入社後評価」を予測できるのかを検証してみます。

 

 

機械学習」で「性格診断から入社後評価を予測」できるか?

 

  今回、コンサルティング対象企業の「性格診断データ(SPI)」と「入社後評価(高評価/普通評価/低評価 の3段階)」を機械学習させてみます。

 

対象者(約100人)の「性格診断」と「入社後評価」を機械学習し、
「実際の結果」と「機械学習で予測した結果」との一致率(=正解率)
を確認しました。
(例えば、
 「実際の結果」… Aさん:「高評価」、Bさん:「高評価」
 「機械学習で予測した結果」… Aさん:「高評価」、Bさん:「普通評価」
だとすると、正解率は50%(Aさんは正解、Bさんは不正解)となります。)

  

以下のグラフは、今回のデータに、色々な機械学習の手法を用いた際の、手法ごとの「正解率」を示しています。

 

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※細かい「正解率」や「機会学習」の内容説明は「こちらの記事」で解説しています。

 

手法によって差はあるものの、今回最も精度が高かった「決定木(Decision Tree)」の手法を用いて予測すると、正解率59% という結果が出ました。これは、

「性格診断」で「入社後の評価」の「6割」を予測できる(可能性がある)

 ことを示しています。

 

 具体的な活用方法

今回用いた機械学習方法では、性格診断結果の各項目の数値の組み合わせで、評価を予測できます。
例えば今回の企業の場合、

  • 「敏捷性」が54未満 (細かなことを気にしない)

  • 「社会的内向性」が47以上 (交際が狭く、深い)

  • 「懐疑的思考性」が53未満 (人を信頼する)

  • 「身体的活動性」が52以上 (フットワークが良い)

タイプの人の場合、17人中15人(88%)が「高評価」になっていることがわかりました。
逆に、

  • 「敏捷性」が54以上 (繊細、感情細やか)

タイプの場合、24人中17人(71%)が「低評価」 でした。(一方、残りの7人の中には、「高評価」を受けている人もいました。)

 

採用時点では、もちろん「高評価」になりやすい「属性」の人を採用すべきですが、「低評価」になりやすい「属性」の人の場合には、既存メンバーと比較して「高評価タイプになり得るか」を確認することで、「採用精度」を高めることができると考えられます。

 

まとめ

今回、

「性格診断」を「機械学習」することで「入社後評価」の「6割」を予測できる

という結果を得ることができました。「スキルマッチ」の評価と組み合わせることで、さらに予測精度を高めることができるのでは?と考えています。

 

皆様の会社では、「性格診断」をどのように活用されていますか?より良い人材採用にチャレンジしたいと考えておりますので、情報・ご意見をいただけますと幸いです。

 

 

上司との相性は「評価」にどれくらい影響するか?

本シリーズでは、「性格診断」を用いて、「高評価者」を採用時点で見分けることにチャレンジしています。

ただ今回は、少し視点を変えて、そもそも「高評価」になる要素を考えるべく
「上司との相性は「評価」にどのくらい影響するか?」
という課題について考えてみます。

※関連記事は「性格診断に対するデータ分析(まとめ) 」よりご覧ください。

 

 会社では公平な評価は行われているのか? 

 

評価(人事考課)はどのように決まっていますか?

直属の上司(評価者)が1次評価した後、評価者が集まって評価者間で差が出ないように調整しています。

上司と部下の性格の一致・不一致によって、評価が変わることはないですか?

「上司」と「部下」の組み合わせで、パフォーマンス(=評価)が変わる可能性がないとは言い切れないかもしれません…

 

「評価はできる限り公平に…」しているつもりですが、評価をする人もまた人間。仕組み化しても、どうしても主観的な部分は残ってしまうのが評価の難しさです。

そこで今回は、
上司と部下の「性格の一致率」は「評価」にどの程度影響を与えているのか?
について実際のデータを使って検証したいと思います。

 

 

「性格診断の一致率」と「評価」の関係性(中途の場合)

早速、今回のコンサルティング対象企業(ビジネス系職種)の「性格診断(SPI)」のデータ分析をしてみます。

今回は、上司と部下の性格診断の「一致率」(0~100%)を計算し、「一致率」と「実際の評価」の分布をみてみました。

まず、中途の場合です。

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結果をみると、
・「一致率」が100%から60%に“減る”につれ、「平均評価が高まる」
・「一致率」が「60%以下」だと「平均評価は低い」
という傾向が読み取れます。

これは、
「上司との性格の一致率」と「平均評価」には関係性がある
ことを示しています。

特に「中途」の場合には、
上司との性格が「近すぎず、また、遠すぎない人」がもっとも評価が高い
ことがわかりました。

 

「性格診断の一致率」と「評価」の関係性(新卒の場合)

同様に新卒の場合の結果を見てみます。

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結果を見ると、中途とは異なり、
・一致率が「80~90%」または「60%以下」だと評価が高まる
ということが読み取れます。

ちなみに「60%以下」で高い評価を新卒につけている人が2人いたのですが、2人とも「執行役員」でした。そのため「60%以下」は少し例外的なのかもしれません。

 

この結果を解釈すると「新卒」の場合
「上司と似ている方が評価が高い」(ただし似すぎていると評価が厳しくなる)
ということがわかりました。

 

まとめ

今回わかったことは、
上司との性格の相性は評価に大きく影響する!
ということです。

一方、「評価」が「パフォーマンス」を正確に表しているとすると、
上司との性格の相性を考慮するとパフォーマンスを向上させることができる
と言えるのかもしれません。

 

皆様の会社では、人員配置を決める際に「性格診断」を活用されていますか?「配置」は「採用」と比較すると定量的に捉えにくい領域だと感じておりますが、ぜひ「配置」についてのお考えを聞かせていただけると嬉しいです。 

 

 

性格診断の平均値をみても無駄?良い人材の見つけ方とは?

今回は、実際のHRデータ分析のコンサルティングを行った結果をもとに、
「どうすれば性格診断の結果から、採用すべき人を判断できるか?」
という課題について考えてみます。

※関連記事は「性格診断に対するデータ分析(まとめ) 」よりご覧ください。

 

 性格診断の全社平均値にどれだけ意味があるのか?

 

採用時に性格診断は利用されていますか?

はい。最終面接前に必ず性格診断テストを受験してもらうようにしています。

性格診断テストの結果は、意思決定に活かせていますか?

「全社員の平均」とのマッチ度は見ているのですが、意思決定の基準にできているかというと難しいかもしれません…

 

「数値データ」がある場合、「平均」を計算してみることが、まず第一歩であることは間違いないと思います。

ただし、「平均は計算したけど、次は具体的にどう行動すれば良いの?」という壁にぶつかった経験がある方も多いのではないでしょうか?

 

今回は、実際の性格診断の結果データ(一部)を使いながら、どう分析すれば効果的な「意思決定」に繋がるのかを順を追ってみていきます。

 

「性格診断」の「全体平均」を計算してみる

とはいえ、まずは「平均」をみてみることは重要です。  今回のコンサルティング対象企業(ビジネス系職種)の「性格診断データ(SPI)」の平均値を求めた結果が、以下のグラフです。

 

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※項目については、株式会社リクルートマネジメントソリューションズの「SPI3」の結果を引用しています。

 

平均を求めると、会社の特徴として
1.「活動意欲が高い」
2.「慎重性が低い(=思い切りが良い)」

などの、傾向があることがわかります。

 

さらに分析を進め、社内の「高評価者」と「低評価者」の「平均」も計算しました。

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すると、全体傾向で見られた「2.慎重性が低い(=思い切りが良い)」については、「高評価者」が上回っていますが、「1.活動意欲が高い」については、「高評価者」と「低評価者」で平均値はほぼ変わりませんでした。


このように平均値を計算してみると
「なんとなく傾向はわかったけど、どうやって活かすの?」
という疑問にぶつかることになります。

 

「高評価者」と「低評価者」で「差がある」項目に注目する

「会社の平均」を見ることも重要ですが、「良い人材を採用するため」には、「高評価者」と「低評価者」の差に注目します。

以下のグラフで星(☆)がついている場所が、「高評価者と低評価者で(統計学的に意味がある)差」がついている項目になります。

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実際に、この4つの項目(「独自性」「自信性」「従順性」「批判性」)が会社平均以上(以下)の社員の評価は、16人中9人(56%)が「高評価」を得ており、4つの項目を見ることで、「高評価者」を一定見分けることができることがわかりました。

※会社全体の2つ特徴だけの場合だと「高評価」は26人中9人(35%)、高評価者の平均が高い4つの項目(「慎重性」「達成意欲」「独自性」「従順性」)だと「高評価」は13人中7人(53%)でした。

 

まとめ

今回、
全体平均ではなく、「高評価者」と「低評価者」の差を確認する
ことで、56%の確率で「高評価」になる人材を見極められることがわかりました。

ただし、この方法では該当の条件に当てはまらない人も多く、「条件に当てはまらない人をどうすれば良いか?」という新しい課題が生まれてしまいました。

次回は、同じ結果に「機械学習」を用いることで、より精度の高い「良い人材の見つけ方」を検証してみたいと思います。

性格診断だけで入社後の評価をどれだけ予測できるのか?

 

皆様の会社では、どのように「性格診断」の結果を利用されていますか?ぜひ情報交換をさせていただけますと嬉しいです。

 

 

普通に面接すると14%しか入社後評価を予測できない?

今回は、過去の研究結果をもとに、
「面接でどの程度「入社後評価」を予測できるのか?」
という課題についてまとめてみます。

※関連記事は「性格診断に対するデータ分析(まとめ) 」よりご覧ください。

 

採用を加速すると陥りがちな罠!?

 

調達が決まり人材採用を加速したのですが、入社後にパフォーマンスが上がらない人が出てしまって悩んでいます。

採用時にはどのよう面接をやっていますか?

書類選考と面接を3回しています。決まった型は作れていないですが、事業責任者と役員がしっかりと面接しています。

面接官が各自で質問項目や評価基準を考えているということでしょうか?

 

「採用人数」が少ない時は問題ないが、「採用人数」を増やすと入社した人のパフォーマンスにばらつきが出る…そんな経験をされている方も多いかもしれません。

「たくさんの人数を採用したから仕方ない!」とも考えられますが、原因は別のところにあるのかも?

今回は、過去の研究結果から、
「面接手法と入社後評価の関係性」
についてまとめます。

 

「普通の面接」で「入社後評価」を予測できる割合は【14%】

Google人事担当上級副社長のラズロ・ボック氏が書いた「ワーク・ルールズ!」(Work Rules)でも紹介されているのですが、1998年に Frank L. Schmidt と John E. Hunter が発表した研究論文では、「19個の面接手法が、採用後のパフォーマンスをどれだけ予測できるか」という結果が示されています。

 

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※結果は一部抜粋

 

「決定係数」という指標は、それぞれの面接手法がどれだけ「入社後評価を説明できるか」を数値化したものです。例えば、「一般認識能力テスト」は、採用後の評価を「26%予測できる」という結果を示しています。

 

この研究結果によると、「一般的な面談(非構造化面接)」は、「採用後の評価」の「14%」しか予測できないという結果が出ています。

 

「人数が少ない時は問題なかった!」理由とは?

 数値モデルで分析した結果(前回記事 ※長文注意)、普通の面接を行うと
・4回選考すると、(入社後)高評価の人が61%
・8回選考すると、(入社後)高評価の人が98%
という結果がでています。

 これは仮説ですが、「人数が少ない時」には、「色々な社員と会う機会」があり、それが選考として機能しており、自然と採用精度が高まっていたのかもしれません。(実際に私もこの経験をしており、非常に後悔しています。)

 

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どうすれば「入社後評価の高い人」を採用できるのか?

 前述の研究、また「ワーク・ルールズ」によると

  • 「一般能力能力テスト」と他の「面接手法」を組み合わせると精度が上がる
  • Googleでは「構造化面接」(一般能力テストの項目含む)を行なっている(かつ4回面談+3回の再評価を行う)

とされています。

解釈すると
「適切な手法を複数用いて、面談回数を増やせば、採用精度は上がる」
と言えるのかなと感じます。

 

ちなみに、前述の研究には(20年前ですので)「性格診断」については言及されていないのですが、次回の記事で「性格診断で入社後の評価の6割を予測できる」(=決定係数30%)可能性を説明しますので、興味があればぜひお読みください。

 

まとめ

今回、

  • 「普通の面接」だけでは「入社後評価」は必ずしも高くならない

 ことをまとめてみました。

 

資金調達を行い、一気に人材採用を加速されたご経験のある方は、どのように採用の課題をクリアされましたか?ぜひお話させていただけると嬉しく思います。 

 

 

性格診断結果のデータ分析(まとめ)

 

いい人材を採用するために、定量的に判断できる方法はないでしょうか?

データがあれば、「傾向」や「未来予測」を分析することが可能です

性格診断(SPI)の結果はあるのですが、使えますか?

はい。それでは「カルチャーマッチ」を定量的に分析してみましょう

 

「人材採用」においては、「データの活用が重要」という認識は持ちながらも、
・何からスタートすればよいかわからない
・時間がなくて分析まで手が回らない
という声をいただくことが多いです。

 

今回のシリーズでは、採用基準の軸となることが多い「スキルマッチ」と「カルチャーフィット」のうち、「カルチャーフィット」に焦点をあてて、「性格診断(SPI)」に対し実際のデータで分析したコンサルティング内容の一部を報告します。

 

ご興味を持っていただける方が多ければ、分析をツール化しようとも考えておりますので、ぜひご意見、ご感想をいただけますと嬉しく思います。
(分析のお手伝いも(初期は無料で)させていただいておりますので、お気軽にお声がけください。)

 

■はじめに

 

■現状を分析する

 

■未来を予測する

 ※分析詳細

機械学習(AI)を使って「良い人材」を見分けられるか?

 

 

10人採用する場合、同時に優秀な20人を不採用にしている?(理論分析 総まとめ)

最近、HR関係の方とお話していると
「人材が採用できない」
という課題感をよく聞きます。

 

加えて、せっかく採用できたにも関わらず
「入社してもらった方のパフォーマンス(評価)が低かった」
ということも、現場の方から伺うこともしばしばあります。

※私自身、前職ではアルバイトも含めると100名近い方を採用しましたが、正直、採用した人が思うようなパフォーマンスに届かないこともありました。

 

もし「採用した人が、評価が低い(=採用すべきでなかった)」のであれば、逆に「採用しなかった人が、評価が高い(=採用すべきだった)」可能性も考えられます。

仮にその人たちが採用できていたら、「人材が採用できない」という課題の解決に一歩近くのではないでしょうか?

 

そこで今回は、
「採用しなかった人が、評価が高い(=採用すべきだった)」確率
について考察します。

(計算や仮定が間違えていたら、ご指摘いただけますと幸いです。)

 

 

0.サマリー

今回の記事のサマリーです。理論に興味がない方は、ここだけ読んでください。

  • Googleは1度不採用した1万人から150人を採用している(この1.5%の採用率は、通常の選考フローの6倍)
  • 【「不採用」を「採用」と判断する確率】と【「採用」を「不採用」と判断する確率】が同じだとすると、10人採用する場合、20人の「採用すべき人」を不採用にしている
  • いくら母集団形成を頑張っても、「採用精度」を高めないと、「採用すべき人」を「非採用」にし続けてしまう

※「採用精度」を高める方法は、今後定量的に本ブログで検証していきます。 

 

1.はじめに:そもそも「採用精度」ってどれくらい?

Google人事担当上級副社長のラズロ・ボック氏が書いた「ワーク・ルールズ!」(Work Rules)によると、Googleでは

  • 受験者を採用すべきかどうかは、4回の面接によって86%の信頼性で予測できる
  • 面接の精度は、面接者が採用したい応募者のうち実際に採用される人の割合
  • 重視するのは平均点
  • それぞれの応募者に対し、(中略)3段階の再評価を行なっている。(中略)「採用委員会」(中略)「上級幹部審査」(中略)「ラリー・ペイジ
  • 不採用となった30万人のソフトウェア技術者の履歴書をこのシステム※によって処理し、1万人の応募書類を見直し、150名を採用した
  • 1.5%という採用率は、グーグル全体の0.25%という採用率の 6倍に当たる

(※「このシステム」とは「再評価プログラム」を指す。直前の「3段階の再評価」とは別のプロセスのこと。)

 と書かれています。

 

また、「How Google Works」の書籍に記載されているのグラフから

  • 「面接回数」が「1回」の時、「評価平均点の精度」は75%

ということが読み取れます。

 

これを解釈するとGoogleでは

  1. 採用プロセスにおいて、最低で面接4回+再評価3回を行なっている
  2. 1人の面接官が「採用」と判断し、最終的に採用になる確率が75%
  3. 4人の面接官の平均点で判断し、最終的に採用になる確率が86%
  4. 採用した人で、初回の選考フローでは非採用にしていた人が一定いる

となります。

 

これを図示してみると、「2」については「Aの領域/Bの領域 = 75%」という意味と考えられます。

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※「高評価」「低評価」は、入社後のパフーマンスを想定

 

一方、「4」については、「Cの領域も一定の人数がいた」ということを伝えていると考えます。

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2.モデル:「採用精度」をどう測るか?

前述の通り、「Work Rules」によると、
「面接精度=面接者が採用したい応募者が実際に採用される割合」
となります。

一方で、「選考フロー」を通過した人が、
「本当に高いパフォーマンスを出しているのか?」
という点は、少し疑問が残ります。

Googleとしては、パフォーマンスの高低は、採用後の複雑な事象が絡むため、採用判断と紐付けないという意味だとは感じますが。)

 

上記で考えると
「採用精度=採用と判断した応募者が、実際に高いパフォーマンスを出す割合」
と捉えた方がより良いのでは?と考えますが、以下については、単純化し、「採用すべき人」「採用すべきでない人」という区分で考えていきます。

 

3.数値計算:「採用すべき人を不採用にしている確率」を計算してみる

3−1.先に結論

以下、小難しい話が続くので、先に結論。

10人採用する場合、

20人の採用すべき人を不採用にしている(可能性が高い)

となります。

Googleの「再評価システム」による採用率が通常の6倍というインパクトには及びませんが、それなりの数の採用すべき人を不採用にしている現実があるかなと思います。

(ちなみにGoogleはあくまで「割合」が通常採用の6 倍と言っているだけ。)

 

 

3−2.計算するための仮定

確率を単純化するために、1つの仮定をおきます。

*******************************************

1人の採用担当者において
・「採用すべきでない人」を「採用と判断する」確率
・「採用すべき人」を「不採用と判断する」確率
は、等しいと考える

*******************************************

※図で表すと、「a : b = d : c」という仮定

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前述の通り、「How Google Works」の記載を読み解くと、Googleでは、上記の「a : b」が「75:25」(=75%)と考えられます。(以下の計算では、この75%は「採用精度」の変数として扱います。)

 

Googleの採用担当者は一定のトレーニングを受けていると考えられるので、特にトレーニングを受けていない採用担当者は、前述の数値よりも採用精度は劣ると考えるのが自然かと思います。

 

※蛇足ですが、入社後の評価については、GE社の元CEOジャック・ウェルチ氏は「下位10%の人材に時間を使うのは生産的ではない」(出典:logmi)とも言っているので、実際の「高評価」の人材は割合は、多くの組織でより低くなると考えられます。

 

 

3−3.1つの採用の条件を決めて計算する

計算にあたり、変数としては

  • 採用しようとしている人数(=採用人数)
  • 面接者の中に含まれる「採用すべき人」の割合(=高評価率)
  • 面接回数
  • 1面接者あたりの平均採用精度(=採用精度)

の4つがあります。

(「採用人数」はわかりやすくするための数値なので、厳密には変数ではないのですが。)

 

まず最初に

  • 採用人数:10人
  • 高評価率:5%(100人応募者がいたら、5人は採用すべき人が含まれる)
  • 面接回数:4回 (書類面接・1次面接・2次面接・最終面接)
  • 採用精度:70%(Googleの面接担当者よりは劣る) 

 という条件のもと、選考フローにおける「採用すべき人」の推移を計算してみます。

 

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※小数点以下四捨五入しています。

 

 

ちょっと目を疑いたくなるような数字ですが、10人採用する場合、

  • 「508人」(うち5%の25人が採用すべき人)から応募があり、
  • 1次〜最終面接まで、合計「242回」面接をしたにも関わらず、
  • 内定者10人の中で採用すべき人は6人しかいない
    (=内定者高評価率60%)
  • そして、25人いた採用すべき人のうち、6人しか採用できていない。(19人(約20人)は不採用にしている。)

という結果になりました。

 

仮定としては
【「採用すべきでない人」を「採用と判断する」確率】と【「採用すべき人」を「不採用と判断する」確率】が等しい
 という点のみです。

 

そのため、もしこの結果を上回る成果を出せる会社(人)がいるとすると、
「採用すべきでない人は採用と判断してしまうが、採用すべき人は不採用と判断しない!」
という条件を満たす必要があります。

(普通に考えると、「採用すべき人を不採用と判断しない」ためには、採用判断を甘くする必要があるので、「採用すべきでない人を採用と判断する」確率も上がってしまう(=悪くなる)と考えられます)

 

実際に
「採用すべき人を不採用と判断する確率」
がどの程度なのかは、
「採用していないから計測のしようがない」
わけですが、可能性としては、これだけ多くの採用すべき人を、不採用にしている可能性はゼロではないと考えられます。

(前述の通り、googleでは不採用した1万人から150人を採用しています。)

 

3−4.採用の条件を変えて計算してみる

3−4−1.採用精度を変更

先ほどと同じ計算を、「採用精度」のみを変えて計算してみました。

(小数点以下の処理方法により、多少数字がずれています。)

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仮に「内定者高評価率」が100%に近い(=95%以上)会社があるとすると、1回あたりの採用精度は85~90%を保つ必要があります。

 

 

3−4−2.面接回数を変更

次に面接回数を同じように変えてみます。

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この結果をみると、 採用精度が70%だとしても、選考回数を7~8回以上行えば、内定者高評価率は100%に近い数字になることがわかります。

 

奇しくも、「Work Rules」の記載によると、Googleは「7回の選考フロー」(面接4回+再評価3回 ※書類面接は含まず)を行なっているためこの計算上、Googleでは、内定者高確率が100%に近いと言えます。

 ※また選考回数8回(7回の選考+書類選考)では、「応募者数3396人に対して10人採用」=「採用率0.29%」なので、「Work Rules」の記載の「採用率0.25%」に割と近い数字になっています。

Googleの採用率は、応募者数ではなく面接者数の可能性もあります。また高評価率(=応募者の中の採用すべき人の割合)も5%より低く、より採用精度が高い可能性も高そうですので、一概にこの結果が意味があるとは言えませんが。)

 

ただしこの場合、1709回の面接を実施する必要があり、10人採用する工数としてどこまで工数をかけられるのか?という問題が発生してしまうと感じます。

Googleの場合、面接は4回とし、残りの3回の選考は、面接を実施しない方法を取ることで、面接回数を抑えていると考えられます。)

 

また応募者には、3396人 × 5% = 約170人 の採用すべき人がいたはずなので、10人の優秀な人を間違いなく採用するために160人の優秀な人を不採用にしてしている計算になります。

(いくらでも優秀な人から応募をもらえる会社であれば、厳しい選考をすることは問題ないですが、応募の数が限られた環境下では、なかなかこの方法を取ることが難しいと感じます。)

 

 

3−4−3.面接者の中に含まれる「採用すべき人」の割合(=高評価率)を変更

最後に、高評価率を変えてみます。

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高評価率40%(10人いたら4人は求められる能力を持っている)場合であれば、最終的な内定者の高評価率が95%を超えました。

 

採用する人のハードル(=期待値)を下げると、高評価者の割合が増えるという結論になるかと思います。

 

 

4.まとめ

諸々仮定はありますが、

「普通の人が4回採用面接して内定を判断すると、採用した人の2倍の採用すべき人を不採用にしている」

可能性があることが、計算上明らかになりました。

 

 

「どうすれば採用“すべきでない”人を、採用にしないようにできるのか?」
という問いに対しては、

  • 採用精度をあげる
  • 採用面接の回数を増やす(ただし、面接回数は膨大になる)
  • 採用する人のハードルを下げる(ビジネスモデルを磨き込む)

の3つの答えのパターンが考えられました。

 

逆に「どうすれば採用“すべき”人を、不採用にしないようにできるのか?」
という問いに対しては、

  • 採用精度をあげる
  • Googleのように)再評価システムを行う

ということが考えられます。

 

いずれにも効果的な方法は「採用精度をあげる」ことですが、一方で、具体的にどのように「採用精度」を上げていくべきか?については難易度が非常に高いと感じており、今後の課題です。

「採用精度をあげる」取り組みを行っていらっしゃる方がいましたら、ぜひご意見をいただけますと幸いです。