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経営(ヒト・モノ・カネ)に関して定量的な分析を発信する 株式会社トランスのブログ

入社前に「早期退職」をどのくらい予想できるか?

今回は実際の企業データを分析した結果から
機械学習(AI)を用いて、入社前で“早期退職”を予測することはできるか?」
という課題について考えてみます。

 ※関連記事は「適性検査の未来予測は再現性があるのか?(まとめ)」「退職(予測)に関するデータ分析結果(まとめ)」よりご覧ください。

 

入社前に「早期退職」は予測できるのか?

 

AIを用いると、退職(離職)も予測できるのでしょうか?

退職は要因が多いので難易度は高いですが、傾向はあると思います。

採用予定者の入社前に早期退職可能性を予測できますか?

それでは、適性検査×機械学習で退職を予測してみましょう。

 

人材獲得競争が激しい昨今、「採用」だけでなく「退職」の改善をすることが重要な打ち手と考えています。(費用面でも、「退職」は「採用費」「教育コスト」「マネジメントコスト」が大きく、悩まれている企業も多いです。)

 

「退職」については、いくつかの企業で予測をする試みが行われていますが、主に「エンゲージメント」や「勤怠」など「入社"後"」の議論が多いと感じています。

 

一方、そもそも「退職しやすい人」を「入社"前"」に予測して、早期退職者を防ぐことはできないのでしょうか?

 

今回は機械学習(AI)」×「適性検査」を用いて、入社前に退職者をどの程度予測できるのかを分析してみます。

 

 

「適性検査」の結果から「退職」を予測できるのか?

 

今回は入社前の「適性検査結果」×「機械学習(AI)」を使って、「退職」を予測してみます。

 

機械学習の分析はアルゴリズムが頑張ってくれるので、早速結果です。
※今回は「退職」の定義は「入社から3年以内に退職」したか否かをデータとして用います。

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上記より
機械学習(AI)が「退職と予測」した55人(27人+28人)のうち49%(27人)が実際に退職
という結果でした

 

今回の対象企業では、3年以内退職率が12%(245人/2000人)のため、
適性検査×機械学習によって 4倍(49%/12%)の確率で退職を予測できる
ということがわかりました。

 

入社前にわかる「退職」しやすい人の特徴とは?

次に、具体的に機械学習(AI)が予測した、退職しやすい人の特徴を見てみます。今回は「職種」によって、退職しやすい傾向が分かれたため、職種ごとに記載します。

 

■「営業」の場合(平均退職率12%)
・「対人問題解決」が著しく低い退職率35%(20人中7人)
・「コミュニケーション能力」が著しく高い退職率23%(56人中13人)
 ※さらに「専門家思考」が低いと退職率73%(11人中8人)

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■「コンサルタント」の場合(平均退職率27%)
・「対人問題解決」が高く、「変化受容」が低い退職率60%(25人中15人)
・「行動力」が高いと退職率75%(8人中6人)

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対象人数が少ない条件もあるため、実際の運用には少し工夫が必要ですが、
「特定の特徴を持つ人」は「職種」によっては、退職率が高まる可能性がある
ということがわかります。

 

特に、興味深い内容として
・「営業」の場合、「対人問題解決」が低すぎると退職しやすい
・「コンサルタント」の場合、「対人問題解決」が高いと退職しやすい
という傾向が出ており、今回の企業の場合には、配置を工夫することによって、退職率を低下させることができる可能性が示唆されています。

 

 

まとめ

 

今回、入社前に退職を予測できるか?という課題に対し、
機械学習×適性検査である程度の早期退職を予測できる
・職種によって、退職しやすい個人特徴がある
可能性があることがわかりました。

 

もし自社と個人の特徴が合わず、早期退職傾向がある場合には、入社面接で確認をしっかりしたり、入社後のフォローを手厚くすることで、早期退職者を防ぐ効果があると考えています。

 

また退職予測については、
今回の「入社"前"の退職予測」(退職者全体のうち1~3割を予測可能)
 =そもそもの特質・カルチャー不一致
前回「入社"後"の退職予測」(退職者全体のうち2~5割を予測可能)
 =評価・給与の問題
などを組み合わせることで、より精度が高められることがわかっています。

 

 

まだまだデータや成功事例が少ない領域ではありますが、もしご一緒にお取り組みをさせていただける企業様がいらっしゃいましたら、ぜひこちらよりご連絡をいただけますと幸いです。

 

 

※執筆者:塚本鋭

 東京大学・大学院において、複雑ネットワークや大規模シミュレーションに関する研究に従事。人工知能学会研究会優秀賞・東京大学工学系研究科長賞 等を受賞。 大学院修了後、株式会社野村総合研究所コンサルタントとして入社し、ICT・メディア領域を担当。2013年1月より株式会社クラウドワークスに8番目の社員として参画し、2014年12月に上場を経験。データ分析・産官学連携を軸としながら、B2B事業立ち上げ、カスタマーサポート部門立ち上げ、子会社副社長等を歴任。2018年より現職。