TRANS.Blog

経営(ヒト・モノ・カネ)に関して定量的な分析を発信する 株式会社トランスのブログ

「適性検査」は採用に使えない?正しい試験の選び方とは?

 今回は実際に分析したデータを基に
「適性検査を正しく使って成果に結びつける方法」
について考えてみます。

 

適性検査は採用の意思決定に使いにくい?

 

適性検査を実施しているのですが、採用の精度があがりません。

試験によっては、現実がうまく反映されない試験もあるようです。

利用する適性検査によって精度は変わるのでしょうか??

 

人事の方からよくいただく質問の1つに
「採用精度をあげるためには、どの適性検査を利用すればよいですか?」
という内容があります。

適性検査では、いろいろな指標の結果が出るものの、いざ採用の意思決定に利用しようとすると
「ストレス耐性」の部分だけしか見ていない…
という企業も多いかもしれません。

今回は、「適性検査」の使い方で陥りがちな罠と、適性検査の選び方について考えてみます。

 

 

適性検査で「採用意思決定」がうまくいかない5つの例

まず実際の適性検査を分析した結果から、「採用」にうまく使えない事例を確認してみます。

 

1.入社の"前後"で「適性検査」の結果が変わる

以下のグラフは、入社前後である適性検査の数値(一部)を比較した結果です。

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グラフより
・「早期退職者」「在職者」共に、入社後は数値が下がる
・「早期退職者」は「在職者」よりも、数値の下がり幅が大きい
ということがわかります。

もちろん「入社」という大きなイベントを減ることで適性が変化している可能性もありますが、
入社前後で結果が変わってしまう”適性検査”がある
ということがわかります。

 

2.適性検査の数値が「高い」ほうが「低評価」になる

以下のグラフは、ある適性検査の結果(入社前)と、「入社後評価」の関係性を示したものです。

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グラフより
・「(入社後)低評価」の人ほど、適性検査の「責任感」や「ストレス耐性」が「高い」
ということがわかります。

一般的には「責任感」や「ストレス耐性」が高いとよいされる場合が多いですが、
「スコアが高い」ほうが「入社後評価が低くなる」適性検査がある
可能性があることがわかります。

 

3.能力試験は、評価と関係性がない

以下のグラフは、「言語能力」「論理能力」と「入社後評価」を比較した結果です。

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グラフより
「能力試験」の数値は「評価」とあまり関係ない
(統計的有意差はない)
ということがわかります。

※「大学偏差値」や「高校偏差値」についても、複数の企業での分析において、評価との関係性が小さいことがわかっています。(ただし、多くの企業において、そもそも偏差値平均が高いため、「著しく能力」の数値が低い場合には「評価が下がる」可能性はあります。)

 

4.一般的な事例と、自社の場合が異なる場合がある

以下のグラフは、適性検査(SPI)の結果と「入社後評価」を比較した結果です。

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「営業系」の場合、この5つの指標は
【「く」の字の”逆”】の方が高評価(=「社会的内向性が低い(左寄り)」)
と言われているようなのですが、この会社では
高評価者は「社会的内向性が高い(右寄り)」
という結果になっています。
※この会社は「ソリューション営業」に近いため、「営業」といってもいろいろな種類があることが一因かなと感じています。

 このように会社によって状況が異なる場合があるため、
一般論が自社では当てはまらない
可能性があることがわかります。

 

5.分析の仕方が間違えている

複数の会社で分析された結果において、
「高評価者の平均値で採用基準を作成しており、実は高評価者のほとんどが採用基準を満たしていない」
ことが散見されます。
※参考:ハイパフォーマー分析をしても、よい人材は採用できない??

これは「分析において指標の”組み合わせ”を考慮していない」ことに起因するため、採用基準の分析を行う場合には、
採用基準の組み合わせを考慮した正しい分析・検証が必要
ということがわかります。

 

適性検査をしっかりと採用に生かすためには?

前述の事例を見ると「適性検査を実施しても意味ないの?」という疑問も生まれてきます。一方で、うまく適性検査を利用して、採用精度を高めている事例もあります。

 

適性検査を利用する目的が、「採用」である場合には
「よい適性検査」とは「入社後評価」や「早期退職者」を見極められる試験であること
と言い換えることができます。

 

そのため、
「適性検査結果」から「入社後の評価・退職」が実際にどのくらい予測できるか否か
が、その適性検査が「よい適性検査」か否かの基準になります。

 

予算が許せは、「実際に自社で検証してみる」ことが望ましいですが、難しい場合には、適性検査の販売会社に入社後評価・退職の予測結果(できれば具体的な数字)を聞いてみるとよいでしょう。

 

まとめ

今回、
適性試験の種類によっては、入社後の予測ができない試験もある
適性試験を選ぶ際には「実際にどれだけ予測できるか」を確認することが重要
ということがわかりました。

 

もちろん、適性検査をうまく利用することができれば、採用精度を高められることが多いので、「使い方が重要」だと考えています。
※今回の分析は、詳細を公開しにくい事情もあるため、もしご興味を持っていただいた場合には、お手数ですがこちらよりご連絡いただき、お話させていただければ幸いです。

 

みなさまは、どのように適性検査を利活用されていらっしいますか?ぜひご意見いただけますと嬉しく思います。
※また認識違いなどございましたら、不勉強で恐縮ですがご指摘いただけますと幸いです。

 

 

※執筆者:塚本鋭

 東京大学・大学院において、複雑ネットワークや大規模シミュレーションに関する研究に従事。人工知能学会研究会優秀賞・東京大学工学系研究科長賞 等を受賞。 大学院修了後、株式会社野村総合研究所コンサルタントとして入社し、ICT・メディア領域を担当。2013年1月より株式会社クラウドワークスに8番目の社員として参画し、2014年12月に上場を経験。データ分析・産官学連携を軸としながら、B2B事業立ち上げ、カスタマーサポート部門立ち上げ、子会社副社長等を歴任。2018年より現職。